明治の石積えん堤(10)
庵谷の奥を初踏査
4月3日(土)
2017年以来足を運んでいなかった庵谷に行ってきました。
この谷では損壊している石積堰堤1基を確認したのみです。
しかし記録によると、この谷に明治33年から34年にかけて11基の石積堰堤が設けられたはず。
庵谷1号堰堤(仮)
2017年に確認済みの堰堤で、空石積と土堰堤の組み合わせから成る。
庵谷に2基あるコンクリート堰堤の中間地点に位置する堰堤で、流路部分の石積が流失している。
位置からすると、明治33年にこの谷に作られた堰堤群の一つと思われる。
前回の調査では石積堰堤はこれ以外確認できませんでした。
今回は前回引き返したコンクリート堰堤の上流側に、初めて足を踏み入れます。
二つ目のコンクリート堰堤越えは、左岸側の急斜面についた獣の踏み跡を慎重にたどる。
谷底とは結構な高低差があり、行程中最も危険な区間です。
この堰堤から先は道がなく、倒木でとても歩きにくい。
堰堤の土砂溜まりを抜けると、前方に石積堰堤が現れた。
しかも次々と。
庵谷2号堰堤(仮)
空石積みで、今回再発見した堰堤の中では最も規模が大きい。
水通しは右岸側の自然岩を利用している。
ピンと角張った天端が印象的。
庵谷3号堰堤(仮)
空石積みで流路は中央付近にあり、円弧状に窪んでいるのが特徴的。
天端も角張っておらず、2号とは印象が全く異なる。
この日ここに来た本来の目的は、この辺りにある自分ちの山の確認のため。
ですので、ここから先は足早に流し見たのみ。
(桂の巨木は、この3号から次の4号の区間の右岸側にあったと思われますが、未確認です。)
【2021.5/10追記】実際に現地を歩かれたT山氏によると、桂の巨木らしき株跡は7号堰堤のさらに先、標高299m付近と343m付近にあったとのこと。343mの株の方が大きく、これが海からも見えたという巨木ではないかとご報告をいただきました。
庵谷4号堰堤(仮)
両岸側にコンクリートによる補修あり。
右岸側は断面形状が異なる。
庵谷5号堰堤(仮)
矢継ぎ早に2~6号の5基を発見したため、現地では強く印象に残るような特徴が無かった堰堤。
これまでの堰堤より規模はやや小さいが、姿はよく見え優美。
水通しは右岸側の自然岩を利用している。
庵谷6号堰堤(仮)
下流側から眺めたのみで、天端へは未踏。
5号堰堤から見上げると、ずいぶん高い位置にそびえ立っている印象を受けた。
サクっとここを越えるのは難しそうな印象を受け、ここで引き返す。
谷底の小さな滝の岩盤を基礎として、その上に積み上げられている
この日再発見した2~6号の堰堤群は、およそ100mに満たない区間に集中しており、短時間にまとめて見て回ることができます。
堰堤に立って上流をうかがうと、次の堰堤が木々の間から覗く具合に。
しかし脇ノ谷砂防群ほどではないにせよ、ここのアクセスの悪さはなかなかのもの。
5月になると薮が深くなることも予想されます。
これで庵谷11基のうち、6基を確認しました。
資料を見るかぎり、上流にもう1つありそうな気がしてます。
しかしながら今季は時間が取れず。
はじめまして!明治の石積堰堤に関心があり、以前よりこちらを参考にさせていただき、また川上へも何度か訪ねさせていただいている者です。実は今日も訪ねていたのですが、岸の谷に2基の石積堰堤を確認しましたので一応報告させていただきます。また機会がありましたら周辺整備なんかもお手伝いさせていただきたいなぁなんて思っています♪今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 山本春人 | 2021年11月13日 (土) 17:11
コメントとご来訪ありがとうございます。
やっぱり岸谷にも残っていましたか。
ここの所仕事が忙しく、更新も山歩きもとんとご無沙汰で申し訳ないです。
投稿: 管理人 | 2021年11月15日 (月) 12:50
こんにちは!本日庵谷7号堰堤見てきました。
流路部分は崩壊し、右岸側にわずかに石積みが残るのみでした。それ以上上流にはなさそうな感じでした。
ちなみに6号は左岸に流入する支流にも小規模な堰堤があり、カッコ良かったです♪
投稿: H | 2021年11月28日 (日) 15:01
申し訳ありません。
PCを換えたのと、最近引きこもり気味だったので長いこと書き込みに気づきませんでした。
7号が壊れていたのはとても残念です。
古い図面には6号と7号の左岸側に石積護岸が描かれていますが、そこに支流の小えん堤が残っているというのは興味深いです。
脇ノ谷で見た構造と共通点がありそう。
石積えん堤を見るためにあの谷に足を踏み入れたという奇特な御仁はこれで二人目。
もはや地元民でも行く人は極めてまれな場所ですが、短時間で複数の石積えん堤をまとめて見るには良い場所だと思います。
投稿: 管理人 | 2022年1月18日 (火) 18:28