角兵衛さん(二)
其れが両県(府)に別れて流れ出すのである。
雨も同じに左右になかよく旅立つのである。
由良川と佐分利川である。
佐分利川は四里程の流れであるが、由良川は長い。
渓谷あり、深水あり、蛇がたまご飲んだような所あり、
浅瀬もある。
曲りくねっていて遊々すれば、
同じ若狭湾に出て「今日は」となる。
永谷村、僕の知るところでは三、四軒あって
二軒目が角兵衛であったように思う。
細い馬車道位いの道で、淋しい所であった。
途中“馬こかし”と言う断崖があって、走って通りすぎた。
振り返って見直すと、岩がつき出ていた。
雪山で言うと雪庇と言うから、
岩が出ているのだから岩屁だろう。
見事な絶壁であった。
ひよどり越えより厳しいから“馬こかし”と言う・・・。
つづく
H18.6.2 善琢
県境手前にある“馬こかし”と呼ばれる断崖絶壁
“ひよどり越えより厳しいから馬こかし”というのは初耳
過去記事:馬こかしの伝説
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