汐汲み(一)
(戦時中)私達が一番困ったのが、極度な塩不足であった。
其の為、海の汐水で塩分の補給をしたのである。
此れは母子の、恨む事も笑う事も怒る事も出来ない、
哀れな物語りである。
母が一斗樽を背負い、僕が一升瓶二本を背負って
上坂の山越しで薗部あたりの海濱に
汐汲みに行ったのである。
幸い夏だから海はよい凪ぎであった。
深そうだから気を付けるのだよ
うん、大丈夫だよ。裸でおよぎたいよ
其れは駄目よ、帰りに足がだるくて困るから
つづく
H17.7.16 善琢
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