トチ(二)
栃の実の自然落下は日にちがかかる。
やっぱり荒れ嵐しを待つのである。
が只し、雨を持って来られると大変である。
勝手であるが風だけで来てほしい。
昔しの話で申し訳ないが、
天気の予想は、身体や空模様で判断する。
先ず朝の東の空を見る、
朝焼けである、雲の色が黒い、風になる。
夕焼けを見る、綺麗な陽だ、明日は晴れるぞ。
東が曇れば風となり、西が曇れば雨となる。
朝虹、昼から虹、雲の流れ、鳥の行動、虫の声、
其れら自然が時候を教え、告げて呉れるのである。
其の智を傳へて呉れたのが先祖であり、親である。
今は空など眺めていると、バイクや自動車にとばされる。
うかうかしていられない。
天気などはテレビを見ればよいと、子供に笑われる。
日本から遠おく離れた、
ボルネオあたりの沖合で発生した荒れを、
空の雲行きを眺めなくても、茶の間にとどけて呉れる。
其れもそうだ。
つづく
H17.9.7 善琢
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