水辺のいきもの・ナチイサン
西国札所の第一番に“那智山 青岸渡寺”があり、
其のお参りの時にやはり里国の若狭を思い出した。
自分の家のみならず彼方此方の法要にゆき、
御詠歌を聞き詠じた。
先導さん(と云うのだろう)の人が
「一番に紀伊国那智山」と皮切りの声を発する。
はっすると言っても勇ましい声ではなく
仏の国と現世を結びつけて呉れるように。
「ふだらくや・・・」
此れが其の詠歌のなちいさんか・・・と繰り返しているうちに、
“ナチイサン”と云う魚がいた事を思い出した。
図体は全く小さかったがすばしこかった。
すなはじきは砂の上で、ナチイサンは石の上が得意だった。
何れも沙魚(ハゼ)の仲間とも思うが、親戚ではなかろう。
ハゼは触るとぬるぬるし、
ナチイサンは背中がいくらかざらっとしたと感じた。
ピュピューと石から石に移って行く姿は不思議で
可愛い魚であった。
吸盤をそなへているのもいるそうであるが
ナチイサンはしらべていない。
今は河川も変り、流れも水質も昔しとちがうので
住んでいるかいないかは分かりませんが・・・
子供にかえって川の内をのぞいて見たい。
つづく
H17.4.11 善琢
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