蜻蛉(一)
私しの家の上に弥右衛門と吉右衛門があって
其の前に小溝があった。
内谷の奥(ウッタンノク)から流れ出ている湧水である。
ここらは他の虫も棲んでいて、
トンボの生息に全く適していたのだろう。
朝早く行くと生まれた(羽化)ばかりの
ミヤマトンボ(オニヤンマ)が二、三匹はいた。
色も薄くて、羽もホヤホヤでであった。
枝や葉っぱごと持って帰って見つめていると、
色も艶も出て来て羽をバタつかせた。
手に持つとばたついて口でがぶっとかみついた。
針の先でつつかれたような痛さを感じた。
つづく
H17.8.31 善琢
にほんブログ村 ←クリックして川上通信の応援をよろしくお願いします
コメント