蜻蛉(二)
精霊蜻蛉(ショウリョウトンボ)
京都地方では、ショウライトンボとよんでいるが
方言(訛り)であるらしい。
名はキヤンマらしい。
うちらでは仏の使いでホトケトンボと言っていたように思う。
別に蚊とりトンボとも呼んでいたと思う。
八月お盆頃になると、夕方やってきて
家のまわりをとびまわって呉れる。
縁側でうすべりを敷いて涼んでいると
目の前を行ったり来たりして、せわしいくらい走りまわる。
あのようにしながら蚊をとっているのだよ、と父が言った。
其の頃の蚊はトンボがとるくらいではとてもとり切れない。
そこで「蚊くすべ」と云う調法な経済的な
蚊の逃がし方をあみだしたのである。
焜炉に火を焚いて、其れをくすぼらして
団扇であおいだのである。
しかしただの煙りでは逃げない。
目の痛くなるような煙りでないと効きめが無い。
タモの木が一番だった。
でも人間にも効きめがあって、やはり蚊帳の中が一番だった。
つづく
H17.9.1 善琢
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