最後の炭焼き窯? その四
空っぽになった窯内部
【6月13日】
この日、密封していた窯を開けて中身を取りだすというので
朝から窯におじゃました。
聞くと結局あれからも温度が上がらず、
煙突の吸い込みも悪いままだったようだ。
湿気がたまっているのか、
あるいは「ケド」と呼ぶ煙突口がふさがっているのか、
長年炭を焼いてきたが、こんなことは初めてだという。
経験者が寄ってたかって不思議がるも、
このままではどうしようもない。
いったん封をして温度が下がってから材料を取りだし、
不調の原因を調べようということになったらしい。
窯を訪れた時刻にはすでに窯が開けられ、
焚き口付近の焚き付けが取り除かれていた。
長いこと火を焚いていたので、そのあたりはすっかり
灰になっていると思いきや、まだ炭の状態で
わずかに火も残っている。
窯いっぱいに立てられた肝心の材料は真っ黒になってはいるが、
炭になっているのは上部のみで、
大方は芯が残ったままの状態だった。
まだ熱の残る窯の中にもぐりこんで
中の木を一本いっぽん取りだして行く。
窯の中はすすが濛々と舞っていて息苦しく、
マスク必至の環境である。
芯の残った木は小屋の隅に積み上げ、
炭になっている部分は別にして袋へ。
上の方だけとはいえ、それでも結構な量の炭である。
煙突を埋め込んだ部分の土がまったく乾いておらず、
一部がずり落ちて口をほとんど塞いでいた。
これでは吸い込みが悪いはずである。
無理やりに空気を送り込んだ上部のみ温度が上がり、
窯の下半分は湿ったままだったのだ。
このあと煙突の前で火を焚いて土を乾かし、
その後取りだした木材を上下逆に立てて
もう一度焼焼いてみるということだった。
翌々日の朝、炭焼き小屋の前を通ると
煙突からうすく煙があがっているのが見えた。
あれから小屋へは立ち寄っていないが、
調子が悪いとも聞かないので
今度は順調に進んでいるのではないだろうか。
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