筍を掘る人
41才にして初めて来た場所。こんなとこもあったのね、みたいな
父がタケノコを堀りに“一丿庄”へ行くという。
行った事も聞いたこともない地名だったので、
後学のためついて行くことに。
着くとそこは瀬津亡の向かいの谷で、
谷のとば口のところからすでに竹林になっている。
そこらは右門の山で、少し入った谷の合流点からが
ウチの山ということだった。
山裾に炭焼き窯の跡がやたらとある。
祖父がここでも仕事をしていたのだろう。
とうの昔に窯の天井は抜けていて、
くぼんだ窯底から、遠慮なく何本も竹が生えている。
現金収入を得るため大抵の男が山に通い、
黙々と炭を焼いていた時代のなごり。
こんな窯跡が山裾にも、山腹にも、山奥にも、
それこそ無数にある。
しばらく竹林を見て回るが、目につくのは
猪の掘り返したあとばかり。
猪は鼻がやたらに良くて、まだ頭を出していない土中の
タケノコを敏感に嗅ぎ分ける。
そしてほじくり返して喰う。
目だけが頼りの人間ではとてもかなわない。
けれど、さすがの猪も毎日通ってきているわけではない。
運良く巡回から外れた日に見て回ると、
おこぼれにあずかることができる。
今日のここはたまたまそういう場所だったようだ。
二つ発見! そして掘る!
ただし固い地面からはあんまり良いのが出ない
伸びたタケノコは固くなる
地面から頭を出す前のものが良いというが、そういうのはなかなか・・・
ひとつ見つけると、その近くにも頭を出していることがよくある
同じ地下茎から出ていた場合は、その二点の延長線上にもある可能性が
聞けば、竹林があってもこんな風に
タケノコを掘らない家もあるそうで。
好き好きとはいえ、いちタケノコ好きとしては
もったいない限り・・・。
太くて良いのは少なめでしたが、そこそこ採れました
持ち帰ったタケノコは母が大鍋で即アク抜き
そしてまた煮物(油あげと天ぷらと)
今回採れたのはとても“しなこい”タケノコでした
せっかくだから一本くらい焼けば良かったと、今になって後悔
四月は畑になんにも無いけれど、山のものがそれを補う
ゆがいたワラビもおいしいです
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