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2010年3月 1日 (月)

角兵衛さん(六)

Kaku_06

あゝ思い出した、いんで食う物が無え・・・

何か買って帰ってやらんとあかん。

「サンダエさん」に寄る事にした。

花かつお、缶詰、麩、油揚げ等を買って、

又すたこら、大変だ。永谷の我が家に向う。

新鞍が見えて来た。

酒飲みの心理は分から無い、飲む人には充分わかるが、

のまない人には分からない。

学校の前まで来たら足が止まった。

「ヤスケさん」である、

酒の匂いである。

足の向きが変った・・・


結局四合瓶を買って出て来た。

足も軽くなった、急がねばと足を早めたが

荷物の重たい事、とこうなるのであるが、多少誇張である。


角兵衛さんには確か戦死者があったと思う、

其のような記憶がある。

息子さんであるのか兄弟であるのか分からない。

女のきょうだいはあった、近くに嫁がれている。


何と言っても永谷は冬が難儀であった。

 

H18.6.6 善琢


R0010555
永谷坂(県道小浜綾部線)永谷の集落跡はこの山の向う側

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角兵衛さん(六)を参照しているブログ:

コメント

60年近くも昔、上林へ炭焼きに精出した頃、
―永谷坂―毎日炭俵や縄を自転車に積んで押して越したものである。
今のように舗装もガードレールもなく、土道だつた。
先日自転車で越してみた。
ーーゴミの多いのに呆れたーー
ー高度成長から、現在ー
あふれる物質文明に人の心は変わつていく
この国のありようを見た思いで、不安が募つた

自転車であの峠越え、お元気そうで何よりです。
車で快適に峠越えなら気付かないことでも、徒歩や自転車でふぅふぅ言いながらだと嫌でも目に入ってしまいます。
永谷坂、昨年はかなり大掛かりに粗大ゴミや空き缶などを回収したのですが・・・
ちょっとがっかりです。

何時読んでも味わい深いですね。小さな葉書一枚の中に不思議なワールドがあるようです…

いつもコメントありがとうございます。

このブログをなんとか続けていけるのも、善琢さんの絵手紙によるところが大きいです。
現在とは違う、当時の暮らしぶりが描かれた絵手紙は、詳細に設定された架空の村を舞台にした物語のようにも思えます。
咬んだマムシの皮をはぎながら庭先で絶命されたお爺さんの話、「茶飲みの九助」といった、屋号とセットになった二つ名が各家についていたこと、戦時中、塩が欠乏したために高浜まで母子で海水を汲みにいった話など、スキャンしながらついつい読んでしまうので、作業があんまり捗りません・・・。

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