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2010年1月20日 (水)

樏(カンジキ)


是れは一寸前の話しであるが、

私しの親父は、下駄の材料を作るのに山の仕事が多かった。

だから色々の物をさがして来た。

其の一つが樏の材料だった。

其の木は“べべの木”と云って、

低木で山に這うようにして育ち、

葉が榧(カヤ)の木に似ていた。

実もよく似て、秋になると赤くなり綺麗だった。

其れを何本も持って帰り、カンジキの型を作って陰干しをして

暇な時に作って、何時も三、四足はあった。

其れを猟師さんが知っていて、

わけて呉れと言って持って帰っていた。

残りが一つになって玄関の奥に吊してあった。

其れを伊左衛門の勇さんが「呉れやあ」との話しになったが、

一つだけだから困ると言ったら、

「其んなら貸して呉れやあ」と云って、一冬履かしゃった。

加減がと言うか、履き心地が良かったのか

かわりを一足持って来て、

「借りとるのは今履いているから、是れと交換して呉れやあ」

と云って、太くて仁王さんの履くようなのを

持ってきやしゃった。

儂はいらないからええわいと、うんと云った。

中々上手なところもあった。

Kanjiki_01
つづく
H17.9.29 善琢

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