トチ(三)
御期待にそって荒れがきた。
どうも一日では終わりそうもない、よわったこっちゃ…。
当てが外れて、悔しくて悔しくてしかたない。
こんや頃にはおさまるやろ。
夜中になって気がきで無い、居ても立ってもいられない。
雨戸を開けて見る、
風も止んだらしい、雨も少かった。
よし今日は行くぞ、嬉れしやば一寸早いが飯を炊こう、
かまどに火をいれた、お茶も沸かそう。
火を焚き乍ら、今日はどこからゆこう、
去年を思い出した、彼処にしようか、此処にしようか。
でも落ちてなければ、何んにもならん。
あの谷には早生があった、
足場が悪いが人の行かんとこがよい、
よしきまった、とかんがへ乍ら握り飯しを握った。
もう拾っているような気分で、テンゴに弁当をつめた。
つづく
H17.9.8 善琢
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