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2009年7月 4日 (土)

お風呂(六)

Furo_06_2
僕の家の井戸(池と呼んでいた)は

昔、新助の向かいにあったものだから

バケツを両の手にもって汲みに行った。

ツルベは上手に落とさないと、なかなかくめない。

ツルベの口が下になるように綱をしゃくって

調子を付けて落とした。

だが下手をすると綱むし落とした。 (※綱ごと)

しまったと思っても、もう遅い。

でも大丈夫、其の時は新助に走って行って、

ツルベ掴み機を借りて来るのである。

「オンヂャン、又落とした。カシテクダンセ」と言うと

「又、落としたか」と笑われるのである。

其の道具は新助特有の機械であった。

今ボツボツ考へて見ると、川上に八十数軒あるなかで

井戸のある家は、不思議なことに数軒のみであった。

 

 

つづく
H17.7.1 善琢

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