明治の石積えん堤(9)
脇ノ谷1~4号えん堤(その2)
4)脇ノ谷3号えん堤(仮)
2号えん堤を後にして下ると眼前に3号えん堤らしき石積を発見。
右岸には比較的きれいな状態で石積護岸が残っており、それがえん堤まで続いています。
土砂崩れによる流下物や倒木が河床に散乱しまくっていて、美しい谷川とは程遠い状態なのが悲しい。
この3号えん堤、水の流下する面が厚さ30cmのコンクリートで覆われ、もたれかかるように補強されています。
日当たりもあまり良くなく、補強跡もあって2号えん堤に匹敵する大きさでありながら、あまり印象に残らないえん堤でした。
倒木がもたれてたり、下流側の石積護岸が崩れていたり、何とも痛々しいお姿です。
3号えん堤全景。撮影地点より下流側にも石積護岸が延びていたと思われるが、現在は流失している。苔むした石積をソロソロと降りて撮影。
5)脇ノ谷4号えん堤(仮)
3号えん堤を過ぎ、谷が大きく左へカーブしている地点まで進むと、再び前方に落差を予感させる光景が広がります。
これが4つ目のえん堤か…と思いきや、なんとこれコンクリートえん堤でした。
見下ろすとそのすぐ下流にもう一つえん堤があるようで、それが石積えん堤らしい。
そっちを4号えん堤とし、コンクリートの方は5号えん堤とします。後年施工されたものだろうし。
(3号えん堤の補修は、この5号えん堤を作る時に一緒に施工したのだろうか。でないと生コン持っていくの面倒くさそう…)
とりあえず下流側に降りたいが、コンクリートえん堤となるとたかが3mほどの落差でもこれが難しい。
とりあえず右岸の斜面を巻いてパスしたが、今日は沢下りのためスパイク付きの地下足袋を履いてこなかったのでヒヤヒヤしました。
谷筋を下ると滝とえん堤のせいで必ずこういう目に会うので、なるべく避けましょう…。
この4号えん堤は1・2号えん堤と同じく左岸側の岩盤を水通しにするおなじみの形式。
従って下に降りるのに困ることはありません。
高さはそれなりだが、谷が狭まった場所の上に幅のおよそ半分が自然岩のため大きさを感じない。
苔でほとんど風景に同化してしまっています。倒木や落ち葉なんかを取り除いたら、あるいは存在感が増すのかもしれないが、少々アピール度に欠けると言わざるを得ない。
4号えん堤は左手から沢が合流する二股地点にありました。
資料にあった脇ノ谷の石積砂防は以上の4つのみ。
このすぐ先で永谷の本流に合流します。
谷から流れ出た土砂がこの先の大砂防で堰き止められ、平らに谷を埋め尽くしていました。
10時くらいからスタートして停めておいた車に戻ったのが12時頃。
約2時間と短い時間ながら、収穫の多い脇ノ谷砂防ツアーでした。
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