明治の石積えん堤(8)
脇ノ谷1~4号えん堤(その1)
4月29日の脇ノ谷調査について、結果から書きます。
脇ノ谷の石積えん堤は、4基設けられたとの情報どおり4基とも現存していました。
ただし付帯構造物である石積護岸や護床等にダメージを受けていますし、コンクリートによる補強が施されているものもありました。
1)妻谷尾林道から脇ノ谷へ
馬こかしの対岸から妻谷尾林道へ入り、徒歩でテクテク約10分。
林道が大規模に崩落している脇ノ谷の現場へ。
途中2箇所で土砂崩れが発生しているため、車両の通行はできません。
崩れた法面をそろそろ下って荒廃した谷底へ降り、しばらく進む…。
林道妻谷尾線の被災状況(脇ノ谷上流) 谷の迫部分の盛土法面がごっそり抜け落ちている。路床まで抜け落ちたため、車はおろか人も通れない。
2)脇ノ谷1号えん堤(仮)
崩れた石積護岸が右岸に見え、それを横目に下っていくと
昨年11月に見つけていた1号えん堤に到着。
昨年偶然見つけて以来、二度目の訪問。ちゃんと残っててよかった。
この1号えん堤、水通しは左岸側の自然岩を利用しています。
元々あったと思われる真ん中の巨岩が特徴的。
えん堤そのものはさほど大きくなく、目測で幅約5m(水通し含む)、高さ2.0m程度。
河床がキレイに流失し、基礎部分がえぐれたようになっています。
基礎地盤は手でポロポロ崩せそうな軟岩のため、今後も浸食が進行していきそう。
基礎のえぐれがひどく、何時崩れてもおかしくないように見えます。
えん堤と連続して設けられたと思われる右岸の石積護岸(上流側)こちらもボロボロ。
3)脇ノ谷2号えん堤(仮)
1号えん堤を過ぎると、再び右岸側に石積護岸が確認できました。
この護岸、水通しとなる部分があり、それ自体が右からの谷の水を受けるえん堤のような構造に見えます。(護岸延長は20m以上、コンディションも比較的良好)
護岸兼えん堤状のユニークな構造。谷の奥には小さな滝が。倒木や堆積物を取り払い、少し伐採したらちょっとイイ感じになるのではと思うが、気軽には来ることができない立地である。
この2号えん堤、1号より幅も高さもあってかなり見栄え良し。
幅7~8m、高さ3.5〜4.0m程度、1号同様左岸側の岩盤を水通しにしていたようですが、堆積した土砂で流路が変わってしまった様子。
本来の流路であるはずの岩盤はカラカラに乾いてしまっています。大雨のたびに天端が水で洗われるせいか落ち葉や枝などが溜まっておらず、美しい状態で保たれていました。
大きさといい整った姿といい、脇ノ谷におけるえん堤の代表格といえる。
写真右側が本来の流路。落差はそこそこあるが、流路が岩盤のえん堤は下りやすくて良い。
写真ではわかりづらいですが、現地では白っぽくて端正な印象の石積。
これまで何度となく大量の土砂と濁流がこの上を押し流れていったはずなのに、よくぞ残っていてくれました。
正直ここまでのものは期待してなかったので嬉しい。わざわざ休みを潰して来た甲斐がありました。
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