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2010年9月22日 (水)

蜻蛉(四)

4_tonbo

地獄の釜が破じったら、赤トンボがでて来る。

或いは赤トンボが出て来たから地獄の釜が破じった。

どちらが先か判らないが、仏トンボと云ったと思う。

お盆の次はお彼岸である。

ところが赤トンボでなくて黄色ではないかと思う。

俺れ流に話すと、地獄の釜がとつぜんに破ぜるので、

化粧するまがなくて其の侭とんできた。

野原に来てやれやれと思ったら、着のみきのまゝ。

あら恥かしや、お山に行ってお化粧しようと云って、

お山に来て赤くお化粧する、と此の様になる。

 
黄色の蜻蛉の中に赤がいる。

紺碧の空に、美をほこらしげに舞っている。

やはり精霊がかえっているのだろう。

其の下で飛んでいるのも、赤トンボ(零戦)と云った。

若い戦士をのせて日本を護って呉れた。

昭和二十年頃、お母さん、お先にと言って散った。

六十年目の秋のお彼岸だ、待っているぞ。

 

H17.9.3 善琢

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