蜻蛉(四)
或いは赤トンボが出て来たから地獄の釜が破じった。
どちらが先か判らないが、仏トンボと云ったと思う。
お盆の次はお彼岸である。
ところが赤トンボでなくて黄色ではないかと思う。
俺れ流に話すと、地獄の釜がとつぜんに破ぜるので、
化粧するまがなくて其の侭とんできた。
野原に来てやれやれと思ったら、着のみきのまゝ。
あら恥かしや、お山に行ってお化粧しようと云って、
お山に来て赤くお化粧する、と此の様になる。
黄色の蜻蛉の中に赤がいる。
紺碧の空に、美をほこらしげに舞っている。
やはり精霊がかえっているのだろう。
其の下で飛んでいるのも、赤トンボ(零戦)と云った。
若い戦士をのせて日本を護って呉れた。
昭和二十年頃、お母さん、お先にと言って散った。
六十年目の秋のお彼岸だ、待っているぞ。
H17.9.3 善琢
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