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2010年5月31日 (月)

お地蔵さんとお婆さんと歌

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広角単焦点では樹上の卵は判別不能
去年とほとんど同じ場所でした

 

 

とある谷の水田に今年もモリアオガエルが

卵を産んでいると聞き、自転車を漕いで

教えられたその場所へ行く。

谷はもっと奥まで続いているが、ここより奥の田んぼは

もう誰も作っておられないのではないだろうか。(確認はしていない)

普段はほとんど人気のない、集落の奥の奥、

山ぎわの水田である。

 
そんな場所でお婆さんがひとり、

黙々とお地蔵さんの掃除をされていた。

小さなやかんに汲んだ水で祠の中を流し、

ちょうどお椀に水を注いでおられるところ。

お地蔵さんは区内にいくつもあるが、

しょっちゅう花や水が供えられ、前掛けなども古くなれば

知らないうちに新しいものになっていたりする。

いつの間にか掃除され、いつの間にか花が供えられる。

奇しくも今日はそういう現場に遭遇したわけで、

なんというか、寝入ってしまった靴屋の仕事を助ける

小人の姿をのぞき見したような感じで、少々バツが悪かった。

 
通り過ぎる時に「こんにちはー」と声を掛けるも、

背を向けているうえに耳も少々遠いと

言っておられたお婆さんなので

まったく気付かれなかった様子。

それはそれでまったく構わないのだけれど、

目当ての産卵現場はすぐ横の田んぼ、

あとでふっと気付かれてびっくりされるのも気まずい。

自転車を降り、声を掛け直そうとふりかえると

ちょうどお地蔵さんを拝んでおられるところだった。

 
どうにもタイミングが悪い。

しかも拝んでおられる時間が・・・長い。

ものすごく念入りである。

断わり無しは少し心苦しかったが、

あんまり長いこと手を合わせておられるので

せっかくだからと一枚撮らせてもらい、

そのまま声を掛けずに電柵とシシ除けのトタン壁をまたぎ、

その場を離れることにした。

 
で、卵を撮り終えて戻ってくると

今度はだんだんと聞こえてくる歌声。

拝み終えたお婆さんは道端に腰を下ろし、歌をうたっておらる。

手拍子つきで。

何の歌かは判らない。

わかるのは、いよいよ出づらくなってきたということ。

 

人気のない谷の奥で無防備に歌うお婆さん。

仮に自分だったとしたら、人に見られるのはかなり恥ずかしい。

ここでいきなり横合いから出現して

私的な空気をぶちこわすのはいかがなものかと、

Uターンして細い細い山際の畦をつたい、

反対側から道にもどって距離をとる。

 

とは言えここは一本道、帰りたいのに迂回は不可能。

この歌もなかなか終わらなくてちょっと困った。

 

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ここのお地蔵さんはとくに手入れが行き届いてます

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